肝臓のことも気にしよう。「熊本宣言」に引き続き「奈良宣言」
こんにちは。
みなさまは「ALT」の測定を受けたことはありますか?
脂肪肝と2型糖尿病の関係は、実は医学的にかなりはっきりしてきています。肝臓に脂肪がたまるとインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなる。つまり脂肪肝は、糖尿病の悪化原因にもなり得るのです。そして逆に、脂肪肝が改善すれば血糖マネジメントも良くなる。
これは食事や運動習慣の見直し、体重減少によっても達成できることが多く、食事・運動療法によるメタボリックシンドローム改善の隠れたメカニズムとして注目されています。
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ところが診察室では、血糖値やHbA1cばかりに注目が集まり、肝臓の状態は後回しにされがちです。本当は血糖マネジメントと脂肪肝の改善は「車の両輪」のようなもので、両方を同時に見てもらうことが大切です。
「熊本宣言」に引き続き、「奈良宣言」
この点を強く打ち出したのが、2023年に日本肝臓学会と日本糖尿病学会などが共同で発表した『奈良宣言2023』です。この言葉は、糖尿病の合併症を防ぐために、HbA1c7%未満を目標にしようという『熊本宣言2013』からきていると思われます。
この宣言では、脂肪肝や脂肪肝炎が2型糖尿病や心血管疾患の重要なリスクであることを明確にし、早期発見・介入の必要性を訴えました。とくにALTが30を超える場合は肝臓の診察を受けることが望ましいとされています。つまり、脂肪肝は単なる肝臓の病気ではなく、糖尿病や動脈硬化と地続きの「全身の病気」としてとらえるべきだという考え方です。
皆様も、お時間がありましたらご自身のALTの値をチェックしてみてくださいね。
P.S. 私は研修医のときに一人旅で奈良へ行ったことがあります。みなさまは奈良に行ったことはありますか?
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